【不定期更新】#15-構築編③選出パターンと補完【小コラム集】
この記事は、ポケモン対戦初心者のための小コラム集「脱初心者、ランクバトルへ」の連載企画です。
前回はPT構築を「積み構築」で考え、基本選出をレジエレキ、ラティアス、ザシアンとしました。
残り3体はどうやって考えるのかというのを、相性補完と実際の選出パターンを考えながら組んでいきましょう。
①4体目の決め方
基本の選出パターンはレジエレキ、ラティアス、ザシアンなのですが、当然この3体だけでは勝てないという相手は沢山います。
これは今シーズンの話ですが、使用率の高いポケモンで、この3体だとキツいと感じるポケモンは、例えばウーラオス(一撃の型)です。レジエレキがリフレクターを張っても、必ず急所になる暗黒強打という技がリフレクターを貫通してダメージを与えてきます。そしてラティアスはBが低くエスパータイプなので、どうやっても暗黒強打を受けることができません。
また今シーズンは伝説ポケモンも使えるので、伝説ポケモンにも気を付けないといけません。特に気を付けないといけないのはバドレックス(黒馬)です。最速バドレックス(黒馬)はザシアンより素早さが高く、さらにこだわり眼鏡などを持てばアストラルビットで倒されてしまいます。これはゴーストタイプの技ですので、当然エスパータイプのラティアスは受けることができません。また、レジエレキもアストラルビットが等倍ダメージで入るので、光の壁があったとしても受けきるのは難しいです。
このように、こちらのポケモン全てに等倍以上のダメージを与えることができ、相手の攻撃が受けきれないことを「一貫性がある」と言います。
バドレックス(黒馬)の専用技アストラルビットは、こちらの3体に対して一貫性があると言えますので、これは対策が必要です。
対策は主に3パターンあります。
A.タイプ受け
暗黒強打とアストラルビットを両方とも半減以下にできるタイプを用意します。これに該当するのは悪タイプですね。
また、ウーラオスの相手はザシアンに任せるとして、バドレックスだけに焦点を絞った場合、ゴーストタイプを無効化できるノーマルタイプも視野に入れるべきでしょう。
この両者を入れる場合、ぱっと思いつくのはブラッキーやポリゴン2などでしょうか。
ただしブラッキーやポリゴン2は格闘タイプに弱いので、ウーラオスの攻撃を受けきるのは難しいでしょう。その場合は飛行タイプやフェアリータイプを入れるのもいいかもしれません。
とくにHB特化の静電気サンダーはウーラオスを受けるのに最適です。
B.数値受け
単純に耐久指数の高い種族値を持つポケモンで受けます。耐久指数とは「HP×ぼうぎょ」や「HP×とくぼう」の計算で出る値で、これが高ければ高いほど受けが成立しやすいと言えます。
以下に耐久指数のランキングを載せておきます。
特性を抜きにして単純な耐久指数の高さで言えば、ハピナスやクレセリアなどが優秀です。ちなみにブラッキーは耐久指数がかなり高いので、タイプ受けだけでなく数値受けも可能なポケモンです。
特性「いかく」や、アイテム「とつげきチョッキ」「しんかのきせき」などを考慮すれば、更に耐久指数は上昇します。
C.縛り
これは「受ける」よりも「攻める」という概念で対策しようという考え方です。
バドレックス(黒馬)は特攻や素早さが高く、専用技も優秀なのですが、タイプがエスパー・ゴーストということもあり、実はゴーストタイプが4倍弱点という欠点を抱えているのです。
また、どれだけバドレックスの素早さが高くても、先制技より早く動くことはできません。
つまり、かげうちを使えるポケモンでバドレックスを一撃で倒すのです。そうすれば、そもそもタイプ受けや数値受けという対策はしなくてもかまいません。かげうちを打てる状況さえ作れば、バドレックスを確実に倒すことができるからです。
このように、素早さの早いポケモンや先制技を打てるポケモンが、相手のポケモンを倒せる状況、または行動を制限できる状況のことを「縛る」と言います。
例えばこちらにかげうちを覚えたミミッキュがいる場合は、相手のバドレックスを縛っている状態と言えます。ミミッキュがバドレックスにかげうちを当てることができれば、戦況を大きく覆すことが可能です。
D.技範囲が被らないアタッカーを増やす
こちらも「受ける」より「攻める」を重視した考え方です。相手の技を受けるほうがより高度な読みを求められるので、それよりかは攻めに転じたほうが扱いやすい印象があります。基本選出となるポケモンたちのメインウェポンで半減されるような相手に強いタイプを出せばいいので、考え方も簡単です。
ラティアスのメインウェポンが竜・エスパー、ザシアンのメインウェポンが鋼・フェアリーです。これらを半減するポケモンは、どんなのがいるでしょう?
これはポケモン剣盾に登場するポケモンを検索したい時に使うのですが、かなり細かい条件に絞って検索することができたり、攻撃順や特攻順などソート機能も優秀です。こちらを使ってみていきましょう。
一番上の「タイプ」というところに、それぞれ「ドラゴン」「エスパー」「はがね」「フェアリー」と入力してください。二つしか入力できない場合は「+項目を追加する」ボタンで4タイプまで入力することができます。
次に、入力欄の右側に検索条件を選択できるところがありますので、ここを「半減」にしてみてください。すると自動で右側に「以下」と出ますが、これはそのままで構いません。
するとこんな画面になるかと思います。
このまま「検索」でもいいのですが、全てのポケモンがヒットしてしまうと見づらいので、一番下にある「最終進化系のみ」にチェックを入れましょう。
そして検索します。
検索結果がこちらになります。
どうやら、ソルガレオをはじめとした鋼タイプには、あまりダメージを与えられないようです。
特にテッカグヤやカミツルギなどランク上位者の方もよく使うポケモンが見えていますので、対策必須でしょう。
この結果からみると、炎タイプや格闘タイプ、地面タイプなどを入れると技範囲がかなり広がると思います。
他にも色々な考え方はあると思いますが、基本的には「受ける(クッション・流し)」や「縛る」「技範囲を広げる」という考え方で組んでいくと、組みやすいのではないかと思われます。
今回のPTは、レジエレキで壁を張りさえすればある程度の耐久は確保できるので、タイプ受けや数値受けはあまり気にせず、まずは攻撃範囲を広げることを考えたいと思います。対戦するにあたっても、やはり受けるより攻める方が楽しいですからね。
壁を張った状態で相性の良いアタッカーと言えば、やはり積みポケモンです。そしてこの3体では鋼タイプが苦手だということも分かりました。でしたら、最強の積み技である「ちょうのまい」を覚えたウルガモスを採用するのはいかがでしょう。特攻、特防、素早さの3つを上昇させ、攻守ともにバランスが良く、3タテの可能性も十分に秘めているポケモンです。
相手より先に蝶の舞を展開し、特防を高められれば、バドレックスのアストラルビットも余裕をもって耐えることができます。また、努力値や性格をHBベースにしておけば、ウーラオスの暗黒強打にも耐えうることができるほか、特性「ほのおのからだ」でウーラオスをやけど状態にするチャンスもあります。
というわけで私はウルガモスを4体目に迎えることにしました。
②5体目の決め方
5体目も基本的には4体目と同じ考え方で構いません。受ける、あるいは技範囲を広げるというような形でタイプ相性補完ができれば大丈夫です。
ここでそろそろ、もう一つ便利なツールを使ってみましょう。
PTの相性補完に悩んだときに使う、良いものがあるんです。それがこちら。
タイプバランスチェッカーです。
ここにポケモンの名前を入力すると、自分のPTはどんな相手が得意か、どんな相手が苦手か、などを分かりやすく教えてくれます。試しに使ってみましょう。
まず技の入力は置いといて、ポケモンの名前を入力してみてください。
診断結果がこちらとなります。
ゴーストタイプに一貫性をとられており、地面タイプの技が苦手です。
また、相手がノーマル、地面、ゴースト、炎、電気タイプだった場合、効果抜群となるタイプを持つポケモンがいません。
どうやらお勧めのタイプは飛行、ノーマル、悪、草タイプらしいです。
このように、PTに足りない補完タイプを教えてくれるので、PTを組む時の目安として使えるのです。
それではおすすめのタイプから考えましょう。
まず、ゴーストタイプに一貫性をとられているのはやはり問題です。使用率の高いバドレックス(黒馬)を対策する方法がありません。これは冒頭でも触れましたね。
この診断結果からもわかるように、やはりノーマルタイプか悪タイプを入れるのが良さそうです。
4体目は「攻め」で考えましたが、5体目は「受け」で考えてみましょう。
バドレックスが苦手ということは明白で、そしてバドレックスはかなり使用率が高いポケモンですので、バドレックスをピンポイントに絞って対策を練るのが良さそうです。
バドレックスが出てきたとき、後出しで繰り出せるクッションのような役割を持つポケモンと言えば、タイプ受け・数値受けの両方とも優秀なポリゴン2やブラッキーがいます。
ちなみに、もし「攻め」で考えるならタチフサグマやバンギラスも優秀です。しかもバンギラスは育て方次第では「受け」としての戦い方もできます。
どのポケモンを選ぶかどうかは本当に好みの問題かと思いますが、私は初心者でも育成しやすいブラッキーを選びました。友達がいないのでポリゴン2へ進化させることができなかったというのは内緒。
③6体目の決め方
ここまでの流れをおさらいしてみましょう。
レジエレキ、ラティアス、ザシアン、ウルガモス、ブラッキーを採用しています。
最後の1体は、痒い所に手が届くような、上記5体のポケモンをもってしても勝てないような相手にピンポイントで選出するポケモンが望ましいです。
ここまでで、地面タイプ、炎タイプ、電気タイプに抜群がとれるタイプのポケモンがいません。
ということは、例えばヒートロトムやランドロスなどに強いポケモンを採用しないと、相手に押し切られる可能性があります。
でも枠は残り1つしかありません。
こんな時は初心に帰って、もう一度タイプ相性表を見直してきましょう。
地面・炎タイプに共通する弱点は水タイプです。
また、炎・電気タイプに共通する弱点は地面タイプです。
これらから導き出される答えは「水・地面タイプ」を持つポケモンの採用です。
現在採用済みの五体を見比べたとき、伝説級ポケモンを相手にして重いなぁと感じたのはカイオーガかなと一瞬思ったのですが、実はブラッキーはバドレックスだけでなくカイオーガも受けきれる優秀なポケモンなので、特性「よびみず」を持つトリトドンは採用しなくても良さそう。
こちらは積み構築でPTを組んでいますが、もし相手も積み構築だった場合、先に積んだほうが勝ちというゲームになってしまい、打ち合いに負ける可能性があります。相手の積み技を阻止するためにもここは特性「てんねん」を持つヌオーに活躍してもらいましょう。ヌオーは相手がザシアンだったときも強いですからね。
これで一通り完成しました!
まだ「ノーマルに効果抜群の技がありません」とか「ランドロス、ゴリランダー、ナットレイなどが苦手かもしれません」というコメントがありますが、あとはそれぞれ覚えさせる技で調整していけば大丈夫です。
④選出パターン
このように6体全てを決めることができましたが、実際のバトルではここから3体を選んで対戦する必要があります。
ただ相手のポケモンのタイプや特性、覚える技などを全て網羅するのは不可能に近いです。
しかもPT選出時間はたった90秒しかないので、深く考える時間もありません。
ですから、「こういう相手が出てきたらこれ!」という選出パターンをある程度決めておくと非常に楽です。
特に今シーズンは、おそらくほぼすべての人が伝説ポケモンを軸としてPTを組んでいると思います。ですから選出パターンも、相手の伝説ポケモンに合わせたものが良いでしょう。
レジエレキ、ラティアス、ザシアン、ウルガモス、ブラッキー、ヌオー
A.基本選出
レジエレキ、ラティアス、ザシアン
迷ったらこれ。ラティアスを特殊アタッカー、ザシアンを物理アタッカーとする。
最初にレジエレキで壁展開を作ってから、後続のラティアス・ザシアンで積み技を展開。3タテを狙いに行きます。
B.相手の伝説枠がカイオーガかバドレックス
カイオーガもバドレックスも、もし初手で出されると簡単に崩されてしまいます。どちらが初手に来ても対応できるよう、ブラッキーを初手に置き、あくびやバークアウトなどで妨害しつつ反撃のチャンスを狙います。もし相手を眠らせることに成功したら、裏の積みエースで突破しましょう。
@1の枠ですが、相手のポケモンに通りが良さそうな方を選んでください。例えば草や虫、鋼タイプなどが多ければウルガモスを選ぶと良いでしょう。
C.相手の伝説枠がザシアン、または相手のPTにメタモンがいる
レジエレキ、ヌオー、ウルガモス
初心者が陥りやすい罠として、伝説級ポケモンが採用可能だと「何が何でも伝説級ポケモンを選出したい」という気持ちになってしまうことです。そんな固定観念は捨ててください。この構築はザシアンを採用していますが、別に必ずしもザシアンを選出しなければいけないということはありません。大丈夫です。
ヌオーとウルガモスはどちらもザシアンに強く出せるので、ザシアン受けとして非常に優秀です。
また相手にメタモンがいた場合、ほとんどの確率でスカーフで、ほとんどの確率でこちらのザシアンを意識しています。特性でAが1段階上昇したザシアンをメタモンがコピーすると、さらに特性でAが上昇してA2段階+スカーフザシアンの誕生となり、こちらのザシアンはほぼ必ず負けます。そんなメタモンにもヌオーやウルガモスは優秀です。
今回は以上になります。
まだこの段階では、技や持ち物などは何も決まっていません。人によっては構築を組む前に技や持ち物を決めてしまう人もいますが、私はとりあえず「主軸に何をさせたいか」を決めて「それをどうやって補うか」と「どのようにPTを選出するか」を先に考えます。そうすると、おのずとどのポケモンにどんな技や持ち物を採用すればいいか見えてくるからです。
そういった考え方については後程別の記事で解説しましょう。
<参考文献>
私よりも強い方々が、私よりも分かりやすく「PT構築について」を解説してくださっています。とても参考になる動画ですので、ぜひご覧ください。
ただし専門用語などが飛び交っている動画もあるので、今シリーズからポケモンを始めたという超初心者の方には少し難しい内容も含まれています。ですが、当記事を最初からここまで読み進めてくださった方なら、ある程度は理解できるんじゃないかと思われます。
これらの動画のうち、自分の性格に合うなと思った方の動画を絞って、何回も視聴することをお勧めします。
ここまでのご閲読ありがとうございました