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ナナホシのポケモン構築メモ

【不定期更新】#17-構築編⑤流行の構築を知ろう【小コラム集】

この記事は、ポケモン対戦初心者のための小コラム集「脱初心者、ランクバトルへ」の連載企画です。

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#16-構築編④ギミック構築← ■ →#18-構築編⑥持たせる道具や技を決める

  前回は様々なパーティを紹介しましたが、ポケモン初心者の方々にいきなりそれら全部を覚えるというのはやはり無理があります。

 結局今は何が流行ってるの?

 どんなPTに気を付ければいいの?

 と、対策する数を絞って、そこを重点的に深堀りしていったほうが実際に戦いやすいと思います。今回は、ずばり「環境」について話をしたいと思います。

 

 環境とは。

  ランクバトルには日々全世界から何万人という方がログインしてきます。

 例えばその何万人の方々が「カイオーガが強いぞ」といってカイオーガばかりを使うとします。

 すると、今度はそのカイオーガの対策をしようと、別のポケモンを使い始めます。

 そうやって対策を繰り返すうち、今現在で特に多く、流行っていると言われ、使い続けられるパーティ。そのパーティは一定期間ごとに移り変わっていくのですが、その使用パーティの移り変わりのこと環境と呼びます。

 

 ポケモンバトルにも流行りすたりがあるのです。

 

 今、どのポケモンやどんなパーティが流行っているのかという目安を確認することができるサイトがあります。それがこちらです。

swsh.pokedb.tokyo

  多くの方は、このサイトに載っているポケモンたちを見て対策を練っています。

 ここはあくまでポケモン一体一体の使用率を見るサイトであり、パーティ単位での使用率を見ることはできませんがそれでもこのランキングを眺めて考察していけば分かることもあります。

 

 まず、今シーズン(2021/8/1~2021/9/1)はシリーズ10で、その特徴はダイマックスが禁止なのと、伝説級ポケモンを一体まで入れていいという特殊ルールです。

 となれば、一体しか入れられない伝説級ポケモンがパーティの軸になってるはずです。

 どんなパーティが流行っているかを探るためには、どんな伝説級ポケモンが使われているのかを探る必要があります。このサイトのページを一緒に追ってみましょう。

 

 まず伝説級ポケモンだけで言えば、本日、記事執筆時点でランキング上位30にいるポケモンは以下の通りになります。

・ザシアン

・バドレックス(黒馬)

カイオーガ

・ムゲンダイナ

 このポケモンたちが主軸のPTが特に流行しているようです。

 他の一般ポケモンは様々ですが、とにかくほとんどのランクバトルで上記4体を見かけることばかりです。伝説級ポケモンは他にも沢山いますが、まずはこの4体を対策しないと連勝していくことは難しい。これが環境を知るということです。

(実際の対戦環境を知るには、1日に何十戦も潜って対戦を繰り返し、傾向を掴んでいくしかありません)

 

 以下、伝説級ポケモンを軸にしたPTの紹介ですが、筆者の感想を多分に含んでいますので、過信は禁物です。「へーそうなんだ~」ぐらいの軽い感じで見てもらえれば幸いです。

 

★ザシアン軸

 ザシアンの圧倒的物理攻撃力をゴリ押ししていくスタイル。「つるぎのまい」の使用率は全体の61%、10人に6人は覚えさせている。壁展開からの積みエースとして優秀だが、タイプ相性や耐久性能の高さから初手に繰り出して3タテを狙う人もいる。

 よく一緒に入れられているポケモンはウーラオス(一撃)、ランドロス、ゴリランダー、サンダー、ポリゴン2、カプ・レヒレ、ウオノラゴン、ミミッキュカバルドンウルガモスなど。

 ザシアンより素早さの高いバドレックス(黒馬)相手には苦戦することが多いため、ウーラオス(一撃)にスカーフを持たせたり、ポリゴン2で受けたり、ミミッキュでしばったり、カバルドンで起点を作ったりするなどして応戦する。

 ザシアンはヌオーに弱いので、その対策にゴリランダーやカプ・レヒレなどを入れたりもする。

 ザシアンの欠点は、持ち物や戦い方が固定されてしまうこと。そのため対策もとりやすい。

 

★バドレックス(黒馬)軸

 ザシアンよりも早い素早さで、通りのよいゴーストタイプの技で全抜きを狙う。特性「くろのいななき」の相性がとてもよく、初手に繰り出してアストラルビットで制圧してこられたりする。

 アストラルビットは使用率ほぼ100%だが、それ以外の技や持ち物はバラつきがある。サイコショック、みがわり、わるだくみ、ドレインキッス、トリック、エナジーボールやどりぎのタネリーフストームなど。

 持ち物はきあいのタスキが最も多いが、火力アップのいのちのたまやこだわりメガネ、耐久アップのたべのこし、同速対決に強いこだわりスカーフなどもいる。

 これらの道具や持ち物から推察すると、単純なアタッカーだけでなく、わるだくみを使った積み展開や、やどりぎのタネ・ドレインキッスを使った受け展開もある。どの型がきても非常に厄介で、全ての型を対策するのはなかなか難しい。

 よく一緒に入れられているポケモンは、ウーラオス(一撃)、ゴリランダー、ランドロスカプ・レヒレ、サンダー、ナットレイミミッキュ、ポリゴン2、エースバーン、ウーラオス(連撃)など。

 バドレックス単体で相手ポケモンを全抜きできるポテンシャルが十分あるので、他のポケモンはクッション性能の高いポケモンが多い。バドレックスが苦手な相手をクッションで受けて切り返し、再びバドレックスを展開して有利に立ち回ることだろう。

 

カイオーガ

 20年前のポケモンから変わらない最高峰の強さを誇る。特性による「あめ」展開と、高い特攻から放たれるタイプ一致「しおふき」がとてつもない火力を誇る。生半可な耐久のポケモンは受けきれない。先手でしおふきを打つためこだわりスカーフを持たせる個体が最も多く、次いでこだわりメガネといったところか。

 覚える技は9割以上が「かみなり・れいとうビーム・しおふき」で構成されており、あと1枠はこんげんのはどうなみのり、ねっとう、といった水タイプの技のどれかを選択する形だ。しおふきだけではHPが減ったときに火力不足になるからね。

 単純な戦い方ながらも、やっぱり上から火力ゴリ押しという伝説級ポケモンらしい戦い方である。

 一緒に入れられているポケモンは、サンダー、ナットレイ、ウーラオス(一撃)、ランドロスミミッキュ、ゴリランダー、カバルドンカイリューガブリアスドリュウズなど。

 カイオーガ同士の戦いでは先に雷を打った方が勝ちなので、そんな不毛な運要素に頼らなくてもいいよう、ドリュウズガブリアスなどの地面タイプがいるんだろう。またカイオーガはゴリランダーのグラススライダーで縛ることができるので、カイオーガを対策したいならゴリランダーは必須級のポケモンである。ナットレイカイオーガと非常に相性がよく、カイオーガとの相性補完で使えるし、またカイオーガ対策としても使えるのだ。

 

★ムゲンダイナ軸

 種族値配分がエグい。素早さ130、特攻145といった、アタッカーとして非常に高い性能を誇りつつ、HPが140と耐久性能も抜群。さらに毒・ドラゴンというタイプが優秀で、覚える技も多彩である。私個人としては、この4体の中で最も相手にしたくないPTだ。

 アタッカーとしても受けポケモンとしても優秀で、おそらくどちらの型でもじこさいせいは覚えているだろう。アタッカーならダイマックスほう、かえんほうしゃヘドロウェーブシャドーボール(バドレックス意識)、メテオビームなどを覚えさせ、メテオビームと相性の良いパワフルハーブやこだわりスカーフ、こだわりメガネ、命の玉といったものを持たせている。

 一方受けとしては、まず持ち物はくろいヘドロ一択である。火力アップアイテムにはバラつきがあれど、くろいヘドロは使用率60%近くあるので、ムゲンダイナを使う2人に1人はくろいヘドロ持ちの耐久型として使っていることだろう。技はじこさいせい、どくどく、マジカルフレイム、みがわり、コスモパワーがメインで、おそらく耐久型はこの5つの技のうち4つを使っていると思われる。

 性格はほとんど臆病なので、高い素早さを活かした最速調整にしているかもしれない。たまに図太いや控えめが存在する。

 一緒に入れられているポケモンは、ヌオー、バンギラスエアームド、ウーラオス(一撃)、ラッキー、ゴリランダー、ランドロスブラッキーメタモンミミッキュなど。

 ほとんどが耐久ポケモンであることが分かる。耐久型ムゲンダイナとこれらのポケモンを使って、相手のポケモン全てを受けまわしていくという受けループが多そうだ。

 メタモンはおそらくザシアンやバドレックス意識だろうか。受けまわしていく戦い方のPTはどうしても火力が落ちてしまうので、火力を補いつつどんな相手にも上がとれるスカーフメタモンは非常に優秀だ。

 

 

 とまぁ、現在のランクバトルではこういったポケモンたちが活躍している。

 もちろん他にも沢山伝説級ポケモンはいるのだが、まずはこれらを対策しないと話にならないまである。

 

 そして実はここまでのPT紹介で、全てのPTに共通していることがあるのだけれど、読者の皆さんはお気づきになられただろうか。

 

 

「一緒に入れられているポケモン」の全てに共通しているポケモンがいる。それはウーラオス(一撃)、ゴリランダー、ランドロスミミッキュの4体だ。

 伝説級ポケモンを除く一般ポケモンでは、これら4体が突出した強さを誇っており、どのPTにもまんべんなく入れられる優秀なポケモンである。これらのポケモンへの対策も必須だろう。

 

●ウーラオス(一撃)

 最近の環境では悪・格闘タイプの技の通りがよく、この二つを半減以下に抑えられるポケモンはフェアリータイプか、ごく一部のポケモンしかいない。相手にフェアリータイプがいなければ必ず通せる強さを持っている。

 なんと、冒頭に紹介したポケモンバトルデータベースを見てみると、ザシアンを抜いて全ポケモン中1位の使用率を誇る。最も多くの人が使っていることからも、その強さがうかがえるだろう(ちなみにザシアンは使用率2位)。

 あんこくきょうだ、インファイト、ふいうち……この3つの技を覚えているのがほとんどで、これらときあいのタスキの相性が良く、確実に相手ポケモン1体は倒せる。特にザシアンが苦手なバドレックス(黒馬)に強く出せるので、ザシアン入り構築に最も多いようだ。

 耐久性能の高いフェアリータイプのポケモンで対処したい。

 

●ゴリランダー

 こちらは使用率3位で、ウーラオス(一撃)とザシアンの次によく使われている。

 何が強いって、こだわりハチマキやいのちのたまを持たせた状態での、グラスフィールド状態で使うタイプ一致の先制技「グラススライダー」だろう。使用率はほぼ100%。相手が草タイプを半減にするポケモンだとしても、先制で2回打てば倒せるという場面も多く、先制技で高火力ゴリ押しは反則的な強さだ。

 スカーフカイオーガ対策はもちろん、努力値をHAに振ればバドレックスのアストラルビットを1回耐えつつ、こちらはグラススライダー2回でバドレックスを倒すことができる。

 また特性によって常時グラスフィールドを発生させるのだが、このフィールドの追加効果である「じしんの威力が半減」という効果が地味に優秀で、地面タイプに弱いザシアンを間接的に補強する形となる。今シーズンのルールではダイアースを打たれることもないので、安心してグラスフィールドを展開できる。

 ゴリランダーの対策にタイプ受けを用意するなら、草半減じゃなく草1/4倍に抑えられるポケモンがいいだろう。

 

ランドロス(霊獣)

 特性「いかく」により相手の物理アタッカーへのクッションとなるほか、地面・飛行というタイプ相性が優秀。更に攻撃種族値が145もあり、耐久性能も高いながら攻撃性能も高いという万能ポケモン。使用率はゴリランダーに次ぐ4位。

 ダイマックスを使えるルールではダイマックスエースとして非常に優秀だったが、ダイマックスが使えない今シーズンでも猛威を振るっている。性格は主に腕白で、オボンの実やゴツゴツメットなど物理受けを意識した調整が多い。初手ステルスロック展開からとんぼがえりして有利ポケモンを後出しすることができる。

 しかしザシアンの素早さを抜いて上から地震を打てるこだわりスカーフとの相性も良く、ザシアン対策ができるポケモンの1体だ。ちなみにスカーフを持たせればバドレックス(黒馬)の上も取ることができ、上から「ぶんまわす」を打てばバドレックスも一撃で倒せることができるのだが、まだ採用率は低いようだ。

 ただし過信は禁物、こおりタイプの技にめちゃくちゃ弱い。4倍弱点だからね。

 

ミミッキュ

 なんといっても優秀なのは、特性「ばけのかわ」による行動保障。どんな攻撃でも必ず1発は耐えて行動できるというのが、ポケモンバトルでは結構重要なこと。使用率は7位。

 素早さ種族値が96と絶妙なバランスで調整されており、最速調整すると実は結構抜けるポケモンが多い。一般的にはいのちのたまを持たせて、初手つるぎのまい→じゃれつくやシャドークローで倒す、という行動をとる。

 また最近はアッキの実を持たせて物理耐久を上げつつ、ドレインパンチなどで粘る型も多いようだ。

 しかし覚える補助技も多彩なので、のろい、でんじは、おにび、みがわりなどでジワジワ攻めたり、ごくまれに見かけるトリックルーム持ちで素早さを逆転されたりする。

 最も型が多いポケモンの一体で、ランク上位者は異次元のような使い方をするが、ひとまず「つるぎのまいを使って攻撃してくるアタッカー」を警戒すれば事故は防げるだろう。

 

 

 とまぁ、ここまで流行ポケモンの一部を紹介してきました。

 全部を紹介することはできないのですが、実際の流行はポケモンバトルを積み重ねればわかると思います。

 とにもかくにも、机上論だけでポケモンは語れません。強くなるには、対戦を繰り返すしかないのです。

 より多くのポケモンバトルをこなし、対戦に慣れていくことが地道ながらも一番大切なのではないかと思います。

 

ここまでのご閲読ありがとうございました

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